The International Arthurian Society - 国際アーサー王学会日本支部

アニメーションやゲームに登場するアーサー王物語と円卓の騎士について

滝口秀人(立教大学スポット講師/自由ヶ丘学園高等学校教諭)

 

 【はじめに】
 どのようなルートをたどって、皆さんはこのページにたどり着きましたか。様々な経緯があるにしても、皆さんはアーサー王物物語に興味をもっているのだろうと推察します。中学生や高校生の皆さんにとって、アーサー王物語への興味のきかっけは、何だったのでしょう。おそらく、映画やテレビアニメ、ゲームなどが、アーサー王物語に触れた最初だったのではないでしょうか。

 本稿では、主に日本において現代のアニメなどにおけるアーサー王物語の要素を発見しつつ、時代を超えて語り継がれてきたアーサー王物語について、その魅力の一端を知っていただき、中世のアーサー王物語の世界へ足を踏み出してほしいと願っています。

 

 【アニメ編】
・『燃えろアーサー』シリーズにおけるアーサー王物語

 日本で最初にアーサー王物語がアニメーションの中で現れるのは、1979年9月から放送された『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』です。このアニメは1980年3月に改編され『燃えろアーサー 白馬の王子』となり、翌年9月まで約1年間放送されました。


http://www.toei-anim.co.jp/lineup/tv/entaku/
(現在はリンク切れ)


 物語は、ログレス(ブリテン島南部)の7王国のうち、4つの国の王が会談をしている場面から始まります。ベンウィック国のバン王は、まだ幼児であるアーサーの右肩にある百合の紋章のあざを理由に、アーサーこそ統一ブリテンの王となるべきと主張し、アーサーの父ユーゼル(英ウーサー)王、レオグランデス王、そしてラビック王(後掲の文庫本では「ラヴィック王」)にブリテン統一同盟を持ち掛けます。その場では同意しますが、城に帰ったラビック王は不服でした。そこに魔女メデッサがラビック王の目前に現れ、魔法により手に入れたバン王の剣を利用してユーゼル王とアーサーを殺してしまえとそそのかします。ラビックは夜中に黒騎士団の一員としてユーゼル王らを襲撃し、彼を殺害しますが、アーサーはマーリンの保護によって生き延びます。その後エクターに育てられたアーサーは、エクスカリバーを台座から抜くことで王としての身分を知らされ、円卓の騎士と共にラビック王を倒しログレスに平和をもたらすために戦います。物語の流れを確認すると、アニメとしては、努力をして忠実にアーサー王物語を取り入れようと試みていることがうかがえます。

 アーサー王物語は、中世イギリスとフランスをはじめとしてヨーロッパ中で書かれ、読まれ、語られましたが、この『燃えろアーサー』シリーズは、中世末期のイギリス人であるトマス・マロリーがまとめ、印刷業者ウィリアム・キャクストンが出版した『アーサー王の死』(Le Morte Darthur)という原作を、御厨さと美氏が翻案したものです。中世の物語そのままでは、現代の視聴者、しかも子供が楽しむことは難しいですから、アニメとして楽しめるように、そして視聴率を取り番組を提供しているスポンサーを満足させるために、脚本家が苦心して中世の物語を取り入れているようです。

 前編放映では、各話のタイトルに見られるように、アーサー王と円卓の騎士が紹介されます。(第1話「風雲児アーサー」第3話「湖の騎士・ランスロット」第4話「竪琴の騎士・トリスタン」第5話「勇気ある少年ガラハッド」第6話「神剣エクスカリバー」第7話「槍の名人パーシバル」等。)オープニングの歌の背景ではアーサーと共に円卓の騎士が登場したりするなど、キャラクター設定や物語の土台に、アーサー王物語を取り入れています。  
 しかし、前述のとおりアニメーションには、製作上いろいろ求められることがありますから、すべてが原作通りというわけではありません。円卓の騎士は、原作では多数いるのに対し、『燃えろアーサー』シリーズでは5人しか出てきませんし、メデッサという魔女もアーサー王物語には登場しません。  

 演出を担当した明比正行氏はアニメ放映開始時に「べつに、イギリス史劇を忠実に描こうというものではなく、あくまで若者のドラマにしようと思っている。(中略)対象年齢としては、小学校高学年から高校生となるでしょう。」(『アニメージュ』1979年9月号p.46)と語っています。アーサー王物語を翻案して、アニメーションとしての娯楽作品を作る意図が明確です。想定されている視聴年齢層は、絵本や本の展開も加えて想定すると、幼稚園児から高校生までと考えられます。  

 アニメ以外でも『燃えろアーサー』シリーズはさまざまな展開をみせます。想定される対象年齢順にまとめてみました。

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幼児対象
『ひかりのくにテレビ絵本㉔ 円卓の騎士物語 燃えろアーサー①』(東映動画)
『ひかりのくにテレビ絵本㊳ 円卓の騎士物語 燃えろアーサー②』(東映動画)

小学校低学年対象
『テレビ名作まんが 円卓の騎士物語 燃えろアーサー』(馬嶋満, 朝日ソノラマ,出版年不詳)

小学生高学年対象
『円卓の騎士 燃えろアーサー』(馬嶋満著, 朝日ソノラマ, 1979年11月)

中学生以上対象
『燃えろアーサー』シリーズの文庫本 (若桜木虔著, 文化出版局, 4分冊, 1980-1981年)
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 『アニメージュ』1980年1月号では、「この番組がお子さま用だなんてだれがいったんだろう。友情・愛・正義・夢・・・見事な若者のドラマじゃないか・・・。」(p78)という紹介文も見られますから、アニメにおいては、少年層でもより高学年向きの作品ととらえられていた様子が窺えます。  

 前編ではアーサー王を多く取り入れ、物語に忠実に描こうとする箇所も多く見られた『燃えろアーサー』ですが、後編は内容が大きく変わります。  

 理由の一つは視聴率低下であったようです。『燃えろアーサー』シリーズを作成した東映動画のプロデューサー勝田稔男氏は「じつはこの1部放映中にはいくどか視聴率低下の非難を受けたことがあったのです。」と明言しています。(『アニメージュ』1980年10月号p.99)「この第2部は、第1部のアーサーのキャラクターだけを生かした新番組だと考えてもらった方がいいですね。対象年齢も第1部に比べて下げてあります。(略)小学校1・2年生向きに作り上げています。なぜこのように設定を変えたかというと、第1部で中世騎士の史実をたどっていったんですけれども、すこし内容的にむずかしすぎるという意見が出たんです。そこで、史実とか伝説は無視して、なじみやすいキャラクターを使用することになったわけです(略)勧善懲悪というかたちをストレートに出した“月光仮面”みたいなものをやろうということになったんです。」(『アニメージュ』1980年5月号p.42)「『さらば円卓の騎士たちよ』第1部でアーサーとともに活躍したトリスタン、ランスロット、パーシバル、ガラハッド、・・・彼らは第2部では、残念ながら登場しません。(略)円卓の騎士たちにいまいちど別れを告げよう。」前掲書 p.42)  

 もはや後編は、製作陣が語っている通り、アーサー王物語とはほとんど関係ない、といってよいでしょう。

 『燃えろアーサー』シリーズは、国内ではDVDもなく、視聴できるチャンスが常にあるわけではありません。前掲の文庫本が出版されており、アニメとほぼ同じ内容ですので、文庫版を読めば物語の筋をとらえることはできます。



 内容として中世の『アーサー王物語』に完全に忠実でないものの、放映がフジテレビ系日曜午後7時の放送だったこともあり、この作品が日本の少年少女に与えた影響は大きいものがあったと推測されます。その後、日本においてアーサー王物語関連のキャラクターが多く取り上げられる21世紀の現状からみれば、日本にアーサー王物語を紹介した先駆的な作品であると位置づけることができます。

・『燃えろアーサー』以降
 キャラクターの名前だけではなく、アーサー王物語の枠組みを採用し原作に沿ったコンテンツを作ろうとした日本のアニメーションは、『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』のみ、と言えます。

 時系列で見ると、1980年からは、アニメよりもむしろゲームでアーサー王物語が取り入れられることが多くなってきます。ゲームについてはのちにまとめることとして、ここでは『燃えろアーサー』以降で、アーサー王物語関連の登場人物が出てくるアニメーションを3作品紹介し、その後の日本のアニメにおけるアーサー王の影響を確認します。

1990年『愛と剣のキャメロット まんが家マリナ タイムスリップ事件』(東宝)
 藤本ひとみ原作のアニメーション映画(8月25日公開)。同タイトルの小説版も同年コバルト文庫から刊行。

 主人公の漫画家マリナをかこみ、小説版のシリーズに登場するイケメンのキャラクターが総出演し、タイムスリップして戴冠前の若きアーサー王の宮廷を訪れる物語。アーサー王は「アーサー・ペンドラゴン」として中心人物の一人となっていますが、他の円卓の騎士は登場しません。

 アーサー王物語の話は時々出てきます。タイムスリップしたマリナの友人の一人であるシャルルが、「伝説」として以下の事柄を伝えるシーンもあります。

 「6世紀初頭イングランドでは、先の王ウーサー・ペンドラゴン亡き後、王位をめぐって戦乱に明け暮れていた。そんななかで人々の唯一の願いは、真の王が現れて国を治めてくれることだった。しかし、真の王と認められるためには、聖なる寺院に祭られている聖剣エクスカリバーを抜かなくてはならない…」



 話の本筋は漫画家マリナの物語でありアーサー王物語とは言い難い作品ですが、アーサーを倒しに来るのがロット王たちであるなど、中世のアーサー王物語をストーリーの中に数か所取り入れています.

2006年1月より  フェイトシリーズ

『Fate/Stay night』  

 2004年1月に発売されたアダルトゲーム『Fate/stay night』がアニメーション化(全年齢対象)されたもので、その後日本国内で大きく人気を博すフェイト・シリーズの最初の公開作品。  

 フェイトシリーズのあらすじは、日本の架空の町「冬木市」において、7人の魔術師「マスター」と、彼らによりそれぞれペアとして召喚された7騎の使い魔「サーバント」が、持ち主の願いをかなえる聖杯を手に入れるため、互いに殺しあうというものです。この7騎の使い魔のうち、物語の主人公(すなわちゲームではプレーヤー自身)とペアを組みメインヒロインとなる「セイバー」(剣の騎士)が、アーサー王とされています。アーサー王は若い女性として設定されています。「彼女は外では少年として振る舞っていた。いや、生まれてから今まで、ずっと、“男”として育てられてきた。」(『Garden of Avalon』、TYPE-MOON、2015、pp.21-22)  

 フェイトシリーズはアニメーションにとどまらず、本家であるゲーム、さらに携帯電話ゲームアプリ、映画、小説、マンガ等、大きく広がりを見せ、若い年代のアニメ好きならば知らないものはいない、という程人気を博しています。  

 フェイトシリーズの中では、例えば携帯アプリゲーム『Fate / Grand Order』の第6章のように、アーサー王の登場人物が多数出てきたり、いくつかのシーンには物語も取り入れられたりしていますが、むしろ古の物語に縛られることなく、フェイト作品のためにキャラクターが使われているといってよいでしょう。シリーズ作品の中には、アーサー王に限らず様々な歴史的英雄たちが登場しており、アーサー王はそのうちの一人でしかありません。  
 フェイトシリーズの生みの親である奈須きのこ氏自身は、『Fate/staynight [Unlimited Blade Works] 』のBlu-ray Disc Box I完全生産限定版』(2015年)に同梱されている書下ろし小説『Garden of Avalon』で、アーサー王物語に準拠する物語を書いています。フェイトシリーズの中でもこの作品は、ストーリー的にもアーサー王物語を踏襲した作品と考えてよいでしょう。


2006年10月より 『コードギアス』シリーズ

 シリーズの根幹となるのは、『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006年10月~2007年3月)『コードギアス 反逆のルルーシュR2』(2008年4月~同年9月)という連続アニメ作品。主人公であるルルーシュ・ランペルージが、殺された母親の敵を討ち、家族が安らかに暮らすことのできる平和な世界を作るため、他者を自らの意図で動かせる「ギアス」という特殊な能力を武器に、自らの住む国の支配国である「神聖ブリタニア帝国」に抵抗し戦ってゆく物語。

 登場する人型兵器ナイトメア・アームズ(以下KMA)の名前は、「ランスロット」「トリスタン」「パーシヴァル」「モルドレッド」「ギャラハッド」等アーサー王物語の登場人物の名前となっています。また、舞台となっている神聖ブリタニア帝国の皇帝専属騎士部隊の名称は「ナイト・オブ・ラウンズ」、円卓の騎士をモデルとしています。

 KMAは、いわば巨大ロボットですが、中世風の名前と騎士の戦闘のような戦いぶりから、中世の作品を思わせる部分もあります。しかし、「コードギアス」シリーズの物語の筋にまでアーサー王物語が大きな軸となっているとは言えません。

 『コードギアス』シリーズは、アニメにとどまらずゲームや漫画、小説、ミュージカル等様々な表現媒体で制作されており、非常に人気を博しているシリーズの一つといえるでしょう。


アニメ編まとめ  

 アーサー王物語に関連する事柄が登場する代表的なアニメ作品を、いくつか見てきました。そこから伺われるのは、キャラクターの命名には用いられているものの、アーサー王物語はアニメ作品のストーリーには影響を与えていることは少ないということです。これは、ある作品中に描かれたキャラクターやそのキャラクターの印象が、中世の作品を参照されないまま次の作品のキャラクターに踏襲されるため、名前や一部の特徴だけが引き継がれ、それ以外の部分は引き継がれないことが原因なのではないかと推測されます。

 しかしながら、皆さんが触れたアーサー王物語に由来するキャラクターは、中世の作品においては、さらに豊かな人間性を持って描かれています。ぜひ中世の作品も読んでみてください。想像を超える豊かな人物描写や、新しい発見があるはずです。

 

 【ゲーム編】
 アーサー王と円卓の騎士や物語中に語られるアイテムは、ゲームの世界でも多く使われています。時系列でいくつかの作品を参照してみましょう。

1986年~『ゼルダの伝説』シリーズ(任天堂)

 このアクションアドベンチャー/アクションロールプレイング・ゲームシリーズでは、主人公の剣『マスターソード』が、ゲーム進行において重要なアイテムとして出てきます。その剣がゲーム内で登場するときには、剣は台座に突き立てられています。その設定に、少年であったアーサー王が台座から剣を引き抜いたという物語の影響があることは想像できます。ただし、物語全体としてはアーサー王と関係なく、オリジナルのストーリー展開がなされています。

1987年~ 『ファイナルファンタジー』シリーズ(スクウェア ※現スクウェア・エニックス)

 関連タイトル数が87作品を数え「最もタイトル数の多いロールプレイングゲーム」として2017年3月にギネス認定された『ファイナルファンタジー』シリーズでも、アーサー王関連のキャラクターやアイテムが出てきます。

 第1作では、エクスカリバーが出てきます。ゲーム内の入手方法は、必要な鉱物を自ら入手し、そのうえで鍛冶屋に作ってもらうというきわめて現実的な経緯をたどります。これは中世のアーサー王物語に出てくるエクスカリバーとは異なります。アイテムは同一ですが、物語中の経緯や意味合いは異なるものです。  

 第7作(1997年)と第14作(2010年)では、円卓の騎士が、ある必殺技の演出として出てきます。どちらの作品でも登場の仕方は似ていますが、バトル中の演出は多少異なります。7作目では、必殺技「ナイツ・オブ・ラウンド」が行われると、異なった鎧と武器をまとった騎士たちが次々と現れ、敵に順番にダメージを与えます。最後にアーサー王と目される大きな騎士が現れ、エクスカリバーを一振りして演出は終わります。相手方に大きなダメージを与えることのできる貴重な必殺技です。

 14作目では、プレーヤーの敵として円卓の騎士たちは現れます。敵である騎神トールダンが、円卓の騎士を呼ぶと、円卓の騎士は12体の「蒼天騎士」として現れます。戦闘が始まり、ダメージが多くなると、トールダンは「来たれ!わが円卓の騎士よ!」と叫びます。すると蒼天騎士が現れプレーヤーに攻撃してきます。蒼天騎士=円卓の騎士は、それぞれ姿かたちや異なる武器を持っており、キャラクターは独立しています。

1992年『ナイツ オブ ザ ラウンド』(カプコン)
 (1994年スーパーファミコン版、2006年Play Station Portable版カプコン クラシックス コレクション内)。  

 キャラクターにはアーサー王物語が踏襲されていて、アーサー王、ランスロット、パーシバル、マーリンが出てきます。戦う設定の騎士の3人はかなり筋骨隆々に描かれています。冒頭にアーサー王がエクスカリバーを抜くと、マーリンが出てきて『聖剣を引き抜いたものならば聖杯をも探し出すことができるだろう』と言います。その後戦いに出て、画面が右スクロールする中、敵を倒しながら進みます。ステージは全部で7つ。クリアするとアーサー王は聖杯を手に入れ、イングランドを統一します。
 大ヒットはしなかったものの、話の筋はアーサー王の物語に準拠しています。

 発売順に時系列に沿うため、少しだけ海外の作品に目を転じてみましょう。
 2000年以降、海外では多くのアーサー王関連のゲームが発売されます。発売年とタイトルを列挙します。

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 2000年
『Arthur's Knights : Tales of Chivalry』WindowsソフトDreamcatcher Interactive

 2002年
『Arthur's Knights Ⅱ : The Secret of Merlin』
WindowsソフトDreamcatcher Interactive(Tales of Chivalryの続編)

『The Legend of Excalibur』Legion

 2004年
『King Arthur』コナミ(販売はアメリカ、Xbox、Play Station2、GameCube用)

 2009年
『King Arthur : The Role-Playing Wargame』(続編は2012年『King Arthur II』Windows用DVDまたはダウンロード)
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 これら海外の作品群は、アーサー王とその物語について原作を踏襲しています。中世という時代感や画面の雰囲気、服装など、時代考証をしてうまく取り入れています。例えば2009年の『King Arthur: The Role-Playing Wargame』は、俯瞰図で戦いの陣形をみてプレーができるので、まるで映画を見ているかのようなゲーム画面です。

 海外のアーサー王物語関連作品は、時代背景や物語を忠実に守る傾向にあるといえます。

2013年 『Princess Arthur』Play Station Portable用ゲームソフト(オトメイト) 15歳以上指定

 「女性向け恋愛アドベンチャーゲーム」。主人公であるアーサーは女性です。プレーヤーはその女性となって、「イケメン」な円卓の騎士との恋愛ができるという設定です。ランスロットは正統派の美形、ガウェインはやんちゃ系、トリスタンは無頼派の大人、ガラハッドは自己に閉じこもりがちな若者、モードレッド自信たっぷりなオレ様キャラ、マーリンは自信たっぷりだが裏の顔をうかがわせる美形、パーシバルはガキ大将、おとなしいキャラにはボールス、ケイは元気よく、モルゴースは大人の女性と、おそらくは中世の作品を参照したうえで、登場キャラクター別に異なった性格を設定している点が特徴です。なお、予約特典としてドラマCDの「Round Table」がついていました。

2014年『ミリオンアーサー』シリーズ(スクウェア・エニックス)

『拡散性ミリオンアーサー』

 スマートフォン・Play Station Vita向けオンラインカードバトルロールプレイングゲーム(いわゆるソーシャルゲーム)  

 100万人のアーサー王と100万本のエクスカリバーが存在するブリテンが舞台で、プレーヤーは自分の分身となる一人のアーサーを選んだ後、岩に刺さったエクスカリバーを抜き、その後味方とブリテンを守るために戦っていくという内容です。登場人物には、金髪碧眼で美形のランスロット、金髪で小柄な女性のガラハッド、白髪老人だが屈強な印象のマーリン、長い金髪に碧眼でグラマラスな女性のグイネヴィア、暗く猟奇的で赤い血の滴る剣を持つモードレッド、尊大な様子のロット王など、アーサー王の人物が時には中世の作品のイメージを継承しながら、また時には自由に性別やイメージを変えて、表現されています。  

 同作品はアナザーストーリーとして『唯一性ミリオンアーサー』がリリースされています。そのゲームの中では男性はアーサーのみで、ランスロットもガウェインもトリスタンも女性として設定されています。

 2014年東京ゲームショウでは続編『乖離性ミリオンアーサー』のトレーラーが発表され、同年10月からはゲームを元にしたアニメ『実在性ミリオンアーサー』が放映されました。2018年3月には『叛逆性ミリオンアーサー』の2018年内のアニメ化が発表されるなど、原稿を書いている現在でも、ミリオンアーサーは拡散しているようです。アーサー王物語の登場人物は、新たなゲームキャラクターとして、新たに創出されていくことでしょう。


ゲーム編まとめ  

 アーサー王と円卓の騎士関連事項が扱われるゲームでは、大きく分けて二つの特徴が見られます。一つは、中世のアーサー王関連の物語に忠実に従い、キャラクター設定を行い、物語を展開していくものです。アメリカなど海外のものはこの傾向があります。日本では、この傾向を持つ作品は、1992年の『ナイツ・オブ・ラウンド』だけといってよいでしょう。もう一つは、キャラクターやアイテムの要素だけを取り入れて、それをゲームのキャラクター作成や物語展開の中で使う、といった特徴です。これは、ほとんどの日本のアーサー王物語関連ゲームに見られます。

 これらの作品に触れ、アーサー王物語に興味を抱いた皆さんは、ぜひ中世のアーサー王物語の本を手に取り、実際の物語世界に触れてみてください。きっとこれまでよりキャラクターをよく理解できることでしょう。

 

 まとめ
 21世紀の日本におけるアーサー王物語の受容状況は、アーサー王物語のストーリーを重視する人々にとっては、もはや受け入れがたい状況になっているのかもしれません。しかし、アーサー王と円卓の騎士は人気を博し、とりわけアニメやゲームソフトの開発は止まりそうにありません。むしろ、次から次へと「拡散」する様相すら呈しています。

 あらゆる媒体を通じて広がっていくアーサー王や円卓の騎士とその物語。ついに2018年1月には大学入試センター試験の世界史Bの問題文において、アーサー王物語が取り上げられました。   

 時代を超え、地域を越え、口伝から書物、教会建築彫刻、映画、アニメーション、ゲーム、携帯ゲームと、あらゆるハードで伝えられるアーサー王と仲間たち。永遠に続くとも思えるその魅力は、多彩な登場人物と人間模様が織りなす物語がもたらす魔法なのかもしれません。これからの時代にも、我々が想像もしなかったような様々な媒体が発明されるでしょう。そして、その媒体でも、アーサー王とその仲間たちは輝き続けるに違いありません。

 
記事作成日:2018年9月21日  
最終更新日:2018年9月21日

 

 

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